データの二次利用

医療情報

電子カルテの利点で挙げられるものにデータの二次利用が挙げられます。

電子カルテの各メーカーも「DWH」、「二次利用DB」といった名称の機能を搭載し、電子カルテの端末からさまざまな検索を行ってデータが電子カルテから取り出せるようになってきています。以前はわざわざ作ってもらわなければならないケースが多く、それから考えるとだいぶ進歩したと思います。

しかし、ただデータを入力しただけでデータが整理されてでてくるわけではありません。バラバラの語句で入力したり、判断基準が入力者の判断まかせでは意味のあるデータとなりません。また入力したり、しなかったりでは、病院全体としてのデータにはなりません。分析したい項目を洗い出し、判断基準に基づいたマスタを作成、入力する運用(入力者、入力タイミング)を徹底する、などの考慮が必要です。

理想的には、データを効率よく収集したい場合、システム構築時点である程度分析したいイメージができている必要があります。ただ放り込んでいてもそこからは有用な情報はでてきません。枠組みを作っておいてその枠組に沿って運用していって初めて意味のあるデータとなって現れてきます。

システムエンジニアにはデータの入れ物を作る発想はあるのですが、入れてから使う発想や入れ方については意外に経験がなく、発想が結びつかないものです。電子カルテ導入ベンダさんまかせで構築を進めていくと電子カルテを導入したものの欲しいデータは手に入らないということをよく耳にします。「DWH(データ・ウェア・ハウス)で対応します」といった返答をよく聞くのですが、機能だけでは足りません。利用者である医療機関でよく運用を考えておく必要があるのです。

弊社では、熊本機能病院様で、医療の質の評価を行うためのデータベース構築プロジェクトJKIC-DBプロジェクトを請負い、運用の流れの中に入力の仕組みを組み込むツールJUMIS(Juryokai Unified Medical Information System)を構築しました。入力運用の検討やマスタ検討にも携わっています。このデータベースは現時点では主に偶発症・併発症の発生率を質評価に利用されています。

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